漫ろ歩き

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 夏至に向かいますます日が長くなるこの季節、夕空は暮れそうでなかなか暮れません。
 その長い黄昏時の中を、仕事帰りに自転車を押しながら、ちょっと遠回りしてゆっくりと漫ろ歩くのが、毎年、この時候の愉しみの一つです。
 しかし、あまり黄昏時の街の美しさに見とれながら歩いていると、いつの間にやら夕闇が静かに迫り、その暗さにはっとすることがあります。
 その刻になると、道を行き交う人々の姿が薄闇に溶け、影のように朧に見えるようになります。古の人々は、この昼と夜に挟まれた時分を、この世の者でない者達に逢う時刻、「逢魔が時」と呼んでおりました。
 街を行き交う、この闇に溶けかけた人型の影。もしかしたらその中に、今でも、鬼か魔か妖怪などの異形の者が、誰にも気づかれずに紛れ込んでいるのかも知れません。いや、むしろその輩は、現代の人々の果てしない欲を喰らい、増えているような気がします。